matarilloの雑記

GitHubに公開したソフトウェアなどについて書きます。

C# (ASP.NET Core) でもisuconやってみたい

えーと今日はもう12/28ですが、この記事は .NET Core Advent Calendar 2016の10日目の記事 兼 ASP.NET Advent Calendar 2016 の17日目の記事だということにさせてください。。。

isuconというのは「いい感じにスピードアップコンテスト」の略です。公式ブログによれば

ISUCONとは

お題となるWebサービスを決められたレギュレーションの中で限界まで高速化を図るチューニングバトル、それがISUCONです。過去の実績も所属している会社も全く関係ない、結果が全てのガチンコバトルです。

というものです。雑に捕捉すると、既定の時間内に、与えられたサーバー、ミドルウェア、アプリケーションをチューニングして、時には(レギュレーションの範囲内で)全とっかえして、ベンチマークのスコアを上げるという大会です。

アプリケーションは運営側が参考実装したものが提示されます。直近の大会(isucon6)のオンライン予選では、Perl/Ruby/Python/PHP/Node.js/Go/Scalaでの実装が提示されていましたが、実際に参加したチームを見るとC++やJavaで再実装したチームがあったりするわけです。

まあそんな感じで楽しそうなので、.NET Coreで参加できないかなーなんて思ったりするわけです。

過去問はgithubで公開されている上、matsuuさんがいろんな環境用にportしています。とりあえず今回はisucon4の予選問題でちょっと試してみました……が、なかなか時間がかかりました。

matsuuさんが作成されたAnsible Playbookをベースにしたのですが、こちらはCentOS6ベース。ところが.NET CoreはCentOS7.1以降をサポートとあります。「と言ってもCentOS6でビルドすれば動くんじゃ?」と思って試してみたら、まあそんな簡単なものではなく。結局あきらめてCentOS7ベースにしました*1。その際に、ちょっとうまく動かなかったところがあったので、フォークして雑に上書きしました

インストールには CentOS 7 Minimal ISOを使いました。

rootでログインして、以下、雑に上書きした https://github.com/matarillo/ansible-isucon を動かします。

$ yum install -y epel-release git
$ yum install -y ansible
$ git clone https://github.com/matarillo/ansible-isucon.git
$ cd ansible-isucon/isucon4-qualifier
$ ansible-playbook -i local playbook.yml

もし、途中の 02_supervisord.yml あたりで Could not find the requested service "'supervisord'": といったエラーが出てたら、systemctl daemon-reloadを実行した上で、ansible-playbookを再実行してみてください。(追記: ansible側を修正して対応しました。)

さて、このAnsible Playbookを動かすと、isucon4の公式リポジトリをフォークして雑にASP.NET MVC Coreアプリケーションを追加した https://github.com/matarillo/isucon4 が組み込まれます……が、まだ中途半端な出来です。

  • .NET Core SDK 1.0 Preview 4 build 004233 を手で入れてください (追記: ansible側を修正して対応しました。)
  • .NET Coreアプリケーションを手で起動してください

前者はもう単純に手抜きです。時間があったら対応したいです。(追記: ansible側を修正して対応しました。)後者は、公式の仕組み (supervisord) でサービス化しようとしたのですが、残念ながら500エラーが解消できませんでした。こちらも対応したいですが、正式版リリースとどっちが早いかな…

ともあれ、.NET Coreアプリケーションを動かすには、ISUCON4 予選当日マニュアル を参考に、

  • supervisord を止める
  • /etc/supervisord.conf を修正して、すべてのアプリケーションautostart=false にする
  • supervisord を再開する

とした後*2

$ cd webapp/csharp
$ dotnet restore
$ dotnet run

でアプリケーションを動かします。

動いたかどうかはブラウザからポート80*3にアクセスするのが一番いいのですが、CentOS 7の初期状態ではファイヤーウォールがポート80をブロックしているはずなので、『CentOS7のfirewalldをまじめに使うはじめの一歩(systemdも少し)』 などを参考にポートを開けましょう。

さて、この状態で動いているアプリケーションですが、公式の参考実装を移植した体になっているので、チューニングは一切されていません。

https://github.com/matarillo/isucon4/tree/master/qualifier/webapp/csharp

  • Controllers
    • HomeController.cs ... Index, Login, MyPage, Reportの4つのアクションを実装。ロジック自体は Logicクラスに移譲
  • Infrastructure
    • IDbFactory.cs ... DbConnectionのファクトリーインターフェース
    • MySqlDbFactory.cs ... MySql.Data に依存した実装
  • Models
    • Logic.cs ... アプリケーションロジックの本体。データベースアクセスはDapperを利用。
    • LoginLog.cs ... login_log テーブルの行に対応するクラス
    • Threshold.cs ... 環境変数で与えられる「ユーザーがロックされるログイン失敗回数」「IPアドレスがBANされるログイン失敗回数」に対応するクラス
    • User.cs ... users テーブルの行に対応するクラス
  • Views
    • Home ... Index, MyPageのcshtmlテンプレート
    • Shared ... テンプレートの共通レイアウト
  • Program.cs ... アプリケーションサーバー設定(png/cssの位置指定、ポート8080の利用)
  • Startup.cs ... ASP.MVC Coreのルーティング、DIの設定など

私の環境でベンチマークを動かしてみたら、こんな感じでした。

csharp

Pythonの参考実装だとこんな感じ。

python

ほぼ差がありません。

アプリケーションに手を入れるとしたら、データアクセスが中心でしょうね。

*1:6と7ではいろんなところの仕組みが違うのですが、無視しました

*2:もしアプリケーションのプロセスがまだ生きていたら killやpkillで強制終了させる

*3:リバースプロキシとしてnginxが動いている